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リハビリテーションのプロと言われる理学療法士。
今では医療機関を飛び出し、介護福祉分野でも活躍をしています。
「機能回復」から「予防」と、リハビリテーションの目的も
フィールドが変わったことにより若干変わってきています。
Contents
理学療法士と介護リハビリ
理学療法士と言えば、元来医療機関に勤め、
患者さんの機能回復に従事してきたという印象が強いと思いますが、
最近では、介護福祉分野でも見かける場面が増えてきています。
介護リハビリとは
平たく言えば、医療機関で受けるリハビリは「医療リハビリ」、
介護施設で受けるリハビリを「介護リハビリ」と呼んでいますが、その目的は全く違います。
医療リハビリは、リハビリ日数に制限があり、治療・訓練による機能回復を目的としていますが、
介護リハビリは、日常生活全般をリハビリと捉えた機能維持を目的とし、
介護認定を受けている人のみが対象者となります。
介護リハビリには日数制限は設けられておらず、
「日常生活の“できない”を“できる”にする」ためのものであるため、
長い目で見て回復、もしくは維持していくことに重きを置かれています。
予防リハビリの重要性
本来「機能回復」が本業であったはずの理学療法士ですが、
なぜ、予防にまで進出してきたのでしょうか?
その背景には、日本の少子高齢化社会が大いに関係しています。
医療リハビリにせよ、介護リハビリにせよ、患者さんが全額負担をしているのではなく、
7割ほどを国が社会保険料の一種である「医療保険料」や「介護保険料」から賄っているのですが、
労働人口が減少していく一方で、高齢者はどんどん増えている日本の状況から、
この社会保険料の支出を抑制することが重要であると考えられています。
介護保険の利用者を抑えることが、支出の抑制に一番つながりはするのですが、
結局、高齢者人口が増えるのであれば、それだけで抑制はできません。
政府の方針としては、高齢者誰しもが「在宅での安心した生活を送れること」がゴールと考えているため、
日々の生活レベルから、予防リハビリを定着させることを推進しています。
そこで、白羽の矢が立ったのが「理学療法士」なのです。
人間の体に詳しく、そもそものリハビリテーション(機能回復)のプロであり、
立つ・座るなど、生活をする上での基本動作の機能回復に長けているため、
誰にでも、通用する知識と技術を持っている専門職と言えましょう。
そのため、介護福祉分野においての理学療法士はかなり重宝されており、
「機能回復指導員」という、介護施設全体のリハビリテーションプランを練ったり、
介護スタッフのケアに関しての指導を行ったりと、まさに生活レベルで利用者さんをケアする
仕組み作りから任されている人も、世の中に多く存在しています。
理学療法士が提供しているリハビリ
理学療法士が提供しているリハビリテーションには種類があります。
それぞれ、利用者さんの要介護度やライフスタイルに合わせて段階分けをされています。
ここではその種類を見ていきましょう。
通所リハビリ
いわゆる老人ホームやデイケアサービスに利用者さんが通われるスタイルを指します。
介護施設側から、送迎バスが出ている所が多く、
9時~17時などを目処に施設で利用者さんをお預かりし、入浴介助や食事介助、
リハビリテーションの時間も組み込まれています。
どちらかと言えば、リハビリに特化!というよりは、高齢者同士のつながりを作って
楽しく過ごしてもらうことや、お一人ではできないお風呂やお食事のお手伝いをすることが
大きな主旨になっています。
その中でもリハビリは、1対1で行われるようなものも人によってはありますが、
集団での体操など、理学療法士1人が全体を見るようなパターンが多いです。
利用者さんの要介護度も1~5レベルの方と幅広いのですが、
在宅できるような状況で、意思疎通が取れる方が多いので、
初めて介護福祉分野に飛び込んだ理学療法士さんでも、働きやすい環境だと言われています。
ただし、運動レベルで言うと、動き回れるけれども認知症が始まっている人もいらっしゃるので
ケガや転倒だけは無いよう、しっかり見守ることも重要です。
訪問リハビリ
理学療法士が要介護者さんのお宅にお伺いし、リハビリテーションを行うサービスです。
大掛かりな機械などを使ったりして行うものはできないため、
自重を使ったり、まさに日常生活に根付いたリハビリテーションが提供できるサービスです。
また、理学療法士にとって、施設でのリハビリテーションとは違い、
訪問リハビリの場合は、1対1で患者さんに集中しての施術が可能なため
きめ細やかなリハビリテーションができます◎
また、所属する法人によっては、訪問件数に応じて給料にボーナスがつく
インセンティブ制を設けている所も多いため、頑張れば頑張るほど評価される制度が整っています。
ただし、1日に複数件訪問するということは、スケジュールの管理も重要ですし、
その中で患者さんのメンタル面でのケアも求められるので、技術力と経験が必要だと言えます。
入所リハビリ
在宅での介護が厳しくなった、要介護度の高い利用者さんが多くみられます。
施設で暮らされている方を見るため、リハビリでの回復、と言うよりは、機能の維持がメインテーマになるため
利用者さんのできることが限られているような場合が多いです。
リハビリ以上に、食事介助やトイレ・お風呂介助がメインの方が多いため、
介護スタッフとの連携が重要だったりします。
また、要介護度が高いということは、転倒などのケガには細心の注意が必要です。
車いすに乗っていないといけないのに、立ってしまっている方などとのコミュニケーションも求められますので
初めて介護分野に挑戦する方には、難易度が高いかもしれません。
ただし、利用者さんを見ている時間が長いからこそ、深くお付き合いができますし、
利用者さん以上に、ご家族の方からヒアリングをしたりするなど、
多くの人と協力してのリハビリテーションが実現できるかもしれません。
理学療法士と介護福祉事業の今後
地域包括ケア
今の日本で注目をされているのは、「地域包括ケア」というワードです。
介護福祉において、市役所や保健所など、地域レベルでの関係者はとても多く、
その全体が協力をして、高齢者を見守っていく、ケアをしていくという動きが活発化しています。
その中でも、重要視されている「リハビリテーション」において、
一番の見識があるともいえる理学療法士は地域包括ケアの中でも中心人物として活躍しています。
ケアマネージャーや保健師さん、利用者さんの状況によっては
歯科衛生士さんや栄養士さんまで、様々な方と協力し合いながら進めていく地域包括ケア。
その課題は、各職種が何ができるのかの把握が足りていないというところから始まるそうです。
自治体として、住みよい環境を作っていくためにも、
これからやってくる高齢化社会の壁を乗り越えていくためにも、
点ではなく、線で、さらには面でのサポートが求められています。
理学療法士のたまごに介護福祉の知識を
地域包括ケアを推進していくにしろ、理学療法士を育成する専門学校や大学における
介護福祉分野の教育がまだまだ進められていないそうです。
理学療法士=医療従事職としてのイメージは確かに強いですし、
実際に施術をすることを考えれば、技術的な専門知識は必要です。
ですが、今後の日本の将来を考えた時に、介護福祉分野の知識を持っていないことには
患者さんの暮らしに対しての理解が足りない部分もきっと出てきます。
教育をする段階から、介護福祉分野での活躍も視野に入れたカリキュラムの制定が
介護現場で働く理学療法士を増やすタネにもなれると考えられます。
機能回復指導員
理学療法士を含む8つの国家資格の保有者であれば、介護施設において機能回復指導員としての就労が可能です。
予防リハビリが重要視されている今の時代に、施設でのリハビリテーションの計画や
施設スタッフに対してのケアの指導など、日常生活でのリハビリを提供するために
施設全体の品質を見る役割を果たすのが機能回復指導員。
今後は地域包括ケアの推進者としての役割も期待されています。
リハビリテーションと介護福祉分野の橋渡しとしても、今後重要な役割になることは間違いありません。
重役と言っても過言でないこのポジションから、予防リハビリテーションの重要性や有効なサービスなど、
形になりきれていない部分を作り上げられれば、世の中のためになること間違いなしです。
一人の理学療法士として患者さんに向き合う毎日の中では、あまり実感がなかったかもしれませんが
理学療法士は日本社会の今後を担う大きな役割を果たしていると思います。
介護福祉分野で働くことも、ぜひ視野に入れてみてください!
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『給料が少ない』
『休みがない』
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